晴れた日に傘!でおなじみ銀行とのお取引 ~銀行口座はいくつ作ればいいの?…~

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晴れた日に傘!でおなじみ銀行とのお取引 ~銀行口座はいくつ作ればいいの?…~


手間はかけずにシンプルに!

法人として事業を営むうえで、銀行口座は必要不可欠です。
では、最初の口座はどのように持てばよいのでしょうか。
よくあるケースとしては、

・会社の近くに支店・ATMがあるから便利なので開設した
・日本政策金融公庫などからの融資とともに口座が必要になり、開設したなどです。

この項目では、銀行口座の開設方法のコツについて紹介します。

ポイント
1. 会社の近くに支店窓口があり、ネットバンキングの使い勝手のよ い銀行を1行選ぶ
2. 銀行口座の数は2口座。1つは売上入金専用、もう1つは支払専 用とする
3. 銀行口座をシンプルにして、キャッシュフローを見失わないこと

1.ネットバンキングの使い勝手で選ぶ

現在の銀行取引の中心は、ネットバンキングに移行しています。
そのため、ネットバンキングの使い勝手のよい銀行、必要なサービスが受けられる銀行を選ぶことが重要です。
ネットバンキングサービスの初期費用、月額費用、および振り込み手数料などはあらかじめ確認しておきましょう。
使いやすさとコスト面、それからキャッシュフローが見えることが重要です。使いやすさといっても、使ってみなければわからない面もありますので、知り合いの経営者などに聞いてみるのもよいでしょう。
当たり前のことですが、税金の振り込みなど、どうしても窓口に行かなければならないケースがありますので、会社の近くに支店窓口があることも判断材料となります。

2.シンプルなカタチにする

事業を営む業界、また取引先の都合など、さまざまな理由で、売上入金口座、経費支払口座それぞれ多数開設している経営者がいます。
しかし、こうなるといつも銀行口座間で資金移動を繰り返す必要があります。
預金残高の把握も一目ではわからなくなってしまうというデメリットもあります。
振替口座が1つでないと、毎月、資金を移動するという手間もかかってしまいます。
できるだけシンプルにすることで、リアルタイムに預金残高を把握するほうがよいでしょう。
資金ショートを起こさないようにするために一番よいのは、銀行口座を1つだけ開設することです。これが基本だと考えてください。
複数の口座を開設する場合、やむを得ない理由があるケースがほとんどですが、意識して口座を増やさないよう努力しましょう。
事業規模の拡大にともなって、店舗別口座、支店別口座など、将来的に必要になってくるかもしれませんが、まずは1~2口座、多くても3口座までに抑えましょう。

3.2口座を開設する場合は?

銀行融資を受ける際には、その窓口となった支店で口座を開設する必要があります。
このケースを除き、もし2口座を開設する場合、以下のような方法をおすすめします。

 1.売上入金専用口座
 2.支払専用口座

これなら、シンプルで残高も把握しやすいはずです。
さらに、この方法にはコツがありますので、紹介しましょう。
まず、口座振替での支払は、先方が設定した日となりますが、それ以外の支払いはすべて毎月一定の日のみとします。
例えば「当月末締め、翌月末払い」「当月末締め、翌々月10日払い」などと決め、取引先にも周知しておきます。
そのうえで、仕入れ代金、経費、給与など、すべて手続きを1日にまとめましょう。
支払専用口座へは、エクセルなどで毎月支払予定表を作成し、ほぼ同額を、売上入金専用口座から振り替えます。
こうすると、月間のコストと月の売上入金を把握しやすくなります。

4.支払いのポイント

支払日は、資金繰りの観点からいうと、売上代金が入金された後に設定しましょう。
例えば翌月末に入金されるのであれば、その入金を待って、翌々月10日(入金日から約10日後)に支払うようにするわけです。
ポイントとしては、仕入先、外注先などから受け取る請求書に書かれた支払日に振り回されないことです。
請求書には「○月○日までにお支払いください」などと書かれていることがありますが、これにしたがってしまうと、取引先ごとに「この支払いは5日」、「この支払いは10日」、「これは20日」……と、何度も支払い手続きをするハメになってしまいます。
事務の手間もさることながら、支払いが小刻みになると、そのうちせわしない資金繰りが必要になり、自転車操業になりやすいという面もあります。
そのため、日単位でキャッシュフローを管理するのではなく、「今月は○万円入金があって、○万円の支払いがある」と、最低限、月単位でキャッシュフローを把握するようにしてください。
逆に、月単位でキャッシュフローを把握できない場合は、どうすれば月単位で経営できるようになるか、ビジネスプランを考える必要があります。
月単位で経営できないと、資金繰りばかりに頭を悩ませることになります。
起業したばかりの経営者は、たいていがプレイングマネージャーですから、実務に影響を及ぼすことになってしまえば、本末転倒です。
請求書に書かれた支払日は、案外、無視して自社の基準で支払っても支障はありません。
力関係で取引を停止されてしまうようなところを除いて、自社が定めた支払日に払うようにしましょう。

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