消費税の輸出免税とは?還付手続きや会計処理の方法まとめ
消費税の輸出免税という制度をご存じですか?一般的には、日本で商品を販売して代金を受け取ったときやサービス料を受け取ったときに、消費税がかかる仕組みになっています。
しかし日本ではなく海外で販売した場合は、消費税がかかるのでしょうか?今回は消費税の輸出免税について解説していきます。
輸出免税の還付手続きや会計処理の方法も合わせてご確認ください。
|-消費税の輸出免税とは?
消費税の輸出免税とは、海外に向けて商品を販売した場合は消費税がかからないという制度のことです。
海外に向けて商品を販売することは典型的な「輸出取引」となります。
一般的な「課税取引」では、受け取った代金の売上から消費税分を抜いたものが売上となるのに対して、「輸出取引」では、受け取った代金すべてを売上とすることができます(後述する会計処理を参考にしてみてください)。
免税となる輸出取引の範囲は、関税法や消費税法基本通達で定められた範囲に限定されているため、当てはまらない輸出取引には消費税がかかる点で注意が必要です。
<免税に当てはまらない輸出取引の例>
・輸出するモノを製造するために行う下請加工
・輸出取引事業者へ販売する国内取引
輸出することが前提であるとはいえ、下請加工や国内取引は輸出取引には当てはまらないため、これらの取引には消費税がかかることになります。
そして輸出取引は、海外で販売した代金に消費税がかからない一方で、国内でモノを仕入れたときには消費税を支払っていることになります。
そのため輸出事業者は、その差額分を消費税の還付として受け取ることができます。
どのような手続きをすれば消費税の還付を受けることができるのかを、次で詳しく解説していきます。
|-消費税の還付を受けるための手続き方法は?
消費税の還付を受けるためには、3つの手続きが必要です。
1.課税事業者への変更手続き
2.輸出取引を証明する書類の保存
3.消費税の確定申告書の提出
<1.課税事業者への変更手続き>
免税事業者や新設法人は、「消費税課税事業者選択届出書」を税務署へ提出します。
簡易課税を選択している事業者は、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を税務署へ提出します。
消費税簡易課税は原則2年縛りがあるため、2年継続したあとでなければ変更することができません。
それぞれの届出書は以下のURLからダウンロードすることができます。
消費税課税事業者選択届出書:
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/1461_01.pdf
消費税簡易課税制度選択不適用届出書:
https://www.nta.go.jp/tetsuzuki/shinsei/annai/shohi/annai/pdf/1461_14.pdf
<2.輸出取引を証明する書類の保存>
輸出免税で消費税の還付を受けるためには、輸出取引を証明する輸出許可書、契約書などの書類の保管が必要です。
<3.消費税の確定申告書の提出>
「課税事業者選択届出書」を税務署へ提出し、「輸出許可書」など証拠書類に不備がなければ、確定申告の時期に「消費税の確定申告書」を税務署へ提出しましょう。
このようにすることで、消費税の還付を受けることができます。
|-輸出免税の会計処理(仕訳)は?
輸出免税の会計処理は以下のように行います。
国内で仕入れた商品を海外で販売する場合の仕訳事例で考えてみましょう。
<仕入の仕訳>
(借方)仕入 50,000 (貸方)当座預金 54,000
(借方)仮払消費税 4,000
国内取引であるため、仕入に対して消費税をいくら支払ったのかを把握しておく必要があります。
<販売の仕訳>
(借方)当座預金 80,000 (貸方)売上 80,000
輸出免税が適用されるため、消費税を海外の販売先に請求を行いません。
まとめ
関税法や消費税法基本通達に当てはまる輸出取引は輸出免税となるため、代金すべてを売上とすることができます。
そして、輸出免税の適用を受けることができれば、消費税の還付という大きなメリットを受けることができます。
輸出免税を利用して、ビジネスチャンスの拡大を検討してみてはいかがでしょうか?
参考URL
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6551.htm
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/tsutatsu/kihon/shohi/07/02.htm
https://www.jetro.go.jp/world/qa/04A-011045.html
https://keiritsushin.jp/keiri-info/tax-info/consumptiontax/
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