社宅には消費税がかかるのか?企業担当者が知っておきたい3つのポイント
社宅に住んでいる役員や従業員からの家賃収入や大家へ支払う借上げ料に、消費税はかかるのでしょうか?
企業担当者が知っておきたい社宅と消費税に関する3つのポイントをご紹介します。
|-社宅の貸付けは消費税がかからないのが原則
会社が借りた社宅を従業員に貸しても、消費税は課税されないことになっています。
なぜなら、住宅の貸付けは非課税取引であることが消費税法第六条で定められているからです。
そもそも消費税には、消費税をかけるのに相応しくない「非課税取引」というものが存在します。
住宅の貸付けは社会政策上の配慮から消費税を課税することが適さないとして、原則として消費税が課税されない仕組みになっているのです。
1ヶ月未満の貸付けや旅館やホテルの宿泊は例外として課税されます。
人が居住する家屋は「住宅」としてみなされます。
社宅も居住用として契約することになるため、消費税が課税されることはないのです。
|-役員や従業員から受け取る家賃に消費税はかかる?
役員や従業員から受け取る家賃に消費税は課税されません。なぜなら、前述したとおり住宅の貸付けは原則として非課税だからです。
ここで問題になるのは、会社が借りた住居をさらに役員や従業員に貸す又貸し(転貸)しても、非課税のままでいいのかということです。
社宅は基本的に法人名義で、役員・従業員に居住させることを前提に賃貸契約を締結することになりますが、この場合においても非課税として取り扱うことに問題はありません。
役員や従業員から受け取った社宅の家賃収入は、非課税売上として会計処理することとなります。
非課税売上は消費税計算上、課税売上割合に影響を及ぼしますので、受取家賃の金額が売上高の5%を超えるような場合は、注意が必要となります。
|-会社が支払った社宅契約時の一時金・仲介手数料や社宅維持費に消費税はかかる?
会社が大家へ支払う敷金や礼金に消費税は課税されません。
地代家賃は課税仕入れとならないため、仕入税額控除に含めないようにしましょう。
仕訳を起こすときの税区分を非課税仕入にすれば大丈夫です。
しかし仲介手数料には消費税がかかりますので、注意しましょう。
また、社宅維持費は、
・共益費や管理費
・修繕費や備品購入費
の2つに分けて考えましょう。
<共益費や管理費>
共益費や管理費は支払わないと居住することができないという点で、家賃に準ずるものとして考えることができます。
そのため、共益費や管理費は非課税仕入として取り扱います。
<修繕費や備品購入費>
修繕費や備品購入費は家賃に付随した性質であるとは言いがたく、住宅の貸付けの範囲に含めることができません。
そのため、修繕費や備品購入費は課税仕入れとして取り扱う点で注意が必要です。
まとめ
社宅に消費税が課税されるかどうかは、以下の3つのポイントにまとめることができます。
(1) 社宅の貸付けは消費税が課税されないのが原則
(2) 役員や従業員から受け取る家賃に消費税は課税されない
(3) 敷金・礼金、共益費や管理費は非課税だが、仲介手数料、修繕費や備品購入費は課税仕入れとなる
法人が社宅を取り扱う際には、これらのポイントを押さえておけば安心です。
参考URL
https://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/shitsugi/shohi/19/10.htm
https://www.nta.go.jp/taxanswer/shohi/6226.htm
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